BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
意識し出すと余計に気になるもので、いつも以上に身体的距離が近い気がする。間に希乃愛がいないからだろうか。
手を繋ぐのも指を絡めたものだし、体重かけて寄りかかるよう身体を密着させてくるし。
「香江ちゃん寒くない?」
「だ、大丈夫です」
午後になって気温が下がってきたせいか、冷たい風がパーク内を通り抜けていく。でも、まだ日差しも出ているし我慢できる範囲なのに──。
「俺は寒いなー」
後ろから、みっくんの着ているジャケットごとギュッと抱き締められた。「ははっ、香江ちゃんってあったかいね」なんて言葉が続けられて、肩にこてんと頭を乗せられる。
心臓がいくつあっても足りないんですけど。
「ちょっ、あの……ここ外ですよ!?」
「うん、知ってるよ。駄目?」
首を傾げて後ろから覗き込んでくるから、顔が近くてキスされそうな程に近い。
「駄目です!くっつき過ぎです!!」
「何で駄目かな?会社じゃないし知ってる人もきっといないよ」
「だ、駄目なものは駄目なんです!!」
「香江ちゃん、頬が赤くなってる。可愛いね、えいっ」
彼の右手が頬に触れた。目を細めて穏やかに笑うみっくんは変わらないけど、いつもより無邪気に見える。だから、私も彼の頬に手を伸ばして軽くつねると、「悪戯っ子だね」と思い切りキスをされてしまった。