BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~



彼の柔らかい唇に、優しい笑顔に周りの目なんてどうでもよくなる位に胸がギュッとなる。



「や、やめてくださぃ……」


震えて小さくなっていく語尾に、本気で嫌がっていなん事なんてみっくんには伝わっているだろうな。



「今日、何時頃まで大丈夫?」

「……希乃愛達も出掛けてるし、遅くなるかもって言ってたし、少しなら大丈夫ですけど……」

「うん、少しだけでいいから、俺、香江ちゃんと2人っきりになりたいな」


みっくんの髪が頬に当たってくすぐったい。抱き締められたまま抵抗する気なんてなくて、彼の腕の中に身を任せたまま。

アトラクションはまだ全制覇はしていない。
でも、眉を下げて不貞腐れるよう唇を尖らせる男の人を見て、もっと触れ合いたいと思ったから──。





*****






「香江ちゃん本当にいいの?」

「……………はい」


ランドパークから車で移動して、少し走ったところでみっくんが方向指示器を出した。ある建物に入るためだ。

小さいけど派手でマンションみたいな作りをした建物。車から降りて、建物の入り口に休憩と宿泊の金額が書いてあるのが目に入るから。ここがラブホテルだという事実を目の辺りにして、思考が一瞬停止する。


受付には人がいなくて、大きなパネルみたいのが見えたけど。全部、みっくんに任せて下を向いていた。
彼の指に自身の指を絡めたまま、彼の右腕にしがみついた状態で歩いてエレベーターに乗った。




「ははっ、香江ちゃん1人占めだ」


部屋の扉がパタンと閉まると、みっくんがそう言って子供みたく笑うから、私も口元を緩ませた。


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