BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
家族のかたち(後)






「母さん、来なくていいって言ったのに」


発表が終わりぞろぞろとホールを出たところで、聞き覚えのある声が耳に入った。



「みっくん!なんで、仕事は??」


スーツ姿に大きな荷物を抱えた彼が、爽やかな笑顔を見せて近づいてくる。


「はは、終わってすぐ新幹線に乗ったよ。鈴木くん置いてきちゃったけどね」

「あら三槻。間に合ったの?心配したのよ。香江ちゃんのご家族とこじれてるって言うから、いてもたってもいられなかったのよ~」


どうやら、みっくんのお母さんがプログラムや希乃愛の出番の情報を送っていたみたいで。みっくんも急いで仕事を片付けて駅から直で来たらしい。







「えーーーー、みっくーん??」


その後、先生の案内で会場の外で待機していると、希乃愛が目をキラキラして私達の元に走ってきた。
第1声が"みっくん"だとお姉ちゃんに申し訳ないんだけど。



「希乃愛、すごく頑張ったね」

「ね!すっっごく上手だったよ!!!」

「うさぎさん、がんばったのよ!えっへん!」


お姉ちゃんに続いて私が声をかけると、両手を腰に当てて得意そうな顔をみせる。そして、みっくんの名前を呼んで彼に飛び付いた。



「みっくん、みっくん!のの すごい?うさぎさん!のの のうさぎさん!!」

「はは、凄く可愛らしいうさぎさんだったよ」


みっくんが腰を屈めて希乃愛をひょいと持ち上げる。満面の笑顔をした希乃愛が、彼の後頭部に手を回したその時──。




「ねぇねぇ、ののちゃんのパパー?」




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