BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~



その後──、希乃愛のリクエストでハンバーグを作って食べて(材料は家から持参)、今日の発表会の上映会をして、覆面ライダーミツキごっこをする事となる。



「やっと、寝たね」

「本当にやっとです」

「ははは、怒涛の勢いだったね」

「もー、希乃愛ったらテンション高過ぎてすみません」


みっくんのベッド上にて大の字寝転がる希乃愛を見て、はぁぁぁと大きな息を吐き出した。
そのまま、ベッドのサイドフレームに寄り掛かるよう床に座り込むと、みっくんも隣にストンと腰を下ろした。

この子のはしゃぎ様は半端じゃなくて、発表会の動画も何度も一時停止し同じ台詞を繰り返したり、そして永遠の戦いごっこのループ。とにかく、みっくんへ見て見てアピールが(すさ)まじかった。



「出張から帰ってきたばかりでお疲れなのに、今日は本当にありがとうございます」

「うん」

「それに……、い、急いで帰ってきてくれて、希乃愛の発表会を見にきてくれてありがとうございました」

「うん、どういたしまして」


薄暗い部屋の中でも分かる。みっくんがフッと口元を緩めて、大きな手が頭に伸びてきた。
髪をくしゃりとされて頭に口付けされる。



「香江ちゃん、良い匂いする」

「……み、みっくんちのシャンプーですけど」

「希乃ちゃんのご褒美はお泊まりだよね。俺は?今日、頑張った俺のご褒美は何かな?」


優しくて穏やかなのに、甘く低い声のトーン。
両手で頬をぐにゃりと持たれ、みっくんの頬がすり寄せられる。

キスされる──そう思って目を瞑ったのに、いつまでもされなくて。目をそっと開ければ、甘えモードに入ったみっくんが唇を尖らせた。






「香江ちゃんからして欲しいな」




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