BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
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「やったー、おとまりー、みっくんのおうちー」
みっくんの家にお邪魔するのは3度目。
1DKだけど広さのあるアパートの1室。その真ん中で、希乃愛が両手を上げジャンプをしながら喜びの声をあげている。
「なんで、おとまり?」
「希乃愛にご褒美って聞いたら、みっくんのお家にお泊まりしたいって言われて。お姉ちゃんもいいって言うので……、っていきなりすみません」
みっくんが穏やかな笑みを浮かべながら、私達の荷物が入ったバッグを黒いソファの横に置いた。
突然、押し掛けても嫌な顔ひとつ見せない。
この前も思ったけど、男の人の1人暮らしってこんなに片付いているものなんだ。
「はは、俺はいいけど。お父さんは大丈夫?」
「知らないでーす」
「後で怒られるかもね」
「みっくんも一緒に怒られてください。長期戦なんですよね?」
なんて、首を傾げて下から覗き込んだその時。
それは一瞬の出来事で、みっくんの手が頬に添えられちゅっと軽いキスを落とされた。
「ちょっ……、希乃…もいるのでこうゆうことは…ひ、控えてくだ」
「あーー!ちゅー!!ののもぉ、ちゅーよ」
時すでに遅し。希乃愛にキス場面を目撃されていたようで、頬をぷぅと膨らませてかけてくる。
そのまま、みっくんにぶつかってひょいと持ち上げられた希乃愛が、彼の頬に小さな唇をくっつける。
「えへへ、ののも!」
「もう、希乃愛ったら」
「ママも、ちゅー」
みっくんに抱っこされたままの希乃愛の両手が伸ばして、今度は私の口に愛らしい唇をつけてきた。