煩悩過多なイケメンは私に一目惚れしたようです【マンガシナリオ】

玲那「もしかして、あたしまだ如月さんの友達じゃなかった……!?」

 サァァと顔色が悪くなり、ショックを受ける玲那に、慌てて弁解する千華。

千華「それは違うよっ。むしろ私なんかが、名取さんの友達なわけないって思って──」
玲那「そんなわけないよ!」

 ズイッと顔を近づける玲那。

千華「!」
玲那「私たち、もう友達だよ如月さん! ……友達の証に、千華ちゃんって呼んでも良い?」

 ニカッと笑う玲那に、千華は目を見開きその後、嬉しさを顔に滲ませた。

千華「……も、もちろん!」
玲那「えへへ、やった! あたしの事も玲那って呼んでね」
千華「玲那、ちゃん……」

 恥ずかしそうに千華が呼べば「なんだか呼ばれる方も照れ臭いね」と、はにかむ玲那。

玲那「あ!」
千華「?」
玲那「あたし忘れ物を取りに来たんだった。じゃ、また明日ね千華ちゃん!」

 元気よく廊下を走っていく玲那。
 途中で足が絡まったのか「おっとっとっと!」バランスを崩す。

千華(危ないっ!)

 見ていた千華はヒヤリとするが、どうにか体勢を立て直した玲那。
 玲那は恥ずかしそうに後ろをふり向く。
 そして千華が見ていた事に気づくと、小さく手をふった。
 千華も微笑みながら、ふり返す。

 玲那が教室に入っていった。
 まだその場に立ったまま動かない千華は、ふるふると微かに震えている。

千華(…………)
(──やったー!)

 千華は喜びを噛みしめるように、小さくガッツポーズをしていた。

千華(御厨くんと藤田くんをのぞいて、初めての女の子の友達!)
(嬉しいっ)

 珍しく千華の顔はゆるみ、ふふっと柔らかい笑みを浮かべている。
 千華は自分では気づいていないが、美人である。

 普段と違い、柔らかい雰囲気をまとっている千華は、横を通った男子生徒二人組の視線を釘付けにした。
 そんなことには、微塵も気づいていない千華。真尋が教室から出てくるのに気づくと、「御厨くん!」と千華は駆け寄った。

真尋「お待たせしました──」
千華「あのねっ」
真尋「!」

 ズイッと顔を近づけてきた千華に、嬉しい反面、戸惑う真尋。
 まだぽうっと頬を染めて、千華を見ていた男子生徒二人組に気付き、真尋はその生徒へ視線を一瞬投げる。

 びくっと肩が跳ねる、男子生徒二人組。
 真尋の様子に、首を傾げる千華。

千華「どうかした?」
真尋「如月さん」
千華「ん?」
真尋「俺と秘密の居残りしません? 話はそこで聞きますから」
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