煩悩過多なイケメンは私に一目惚れしたようです【マンガシナリオ】
〇体育倉庫は外にあり、大きな体育館の横に建っている。
千華が鍵を開け、横にスライドする扉に手をかけるが建て付けが悪いのか中々開かない。
樹「俺がやる」
千華にかわり、ガッと力を入れて強引にあけた樹。
千華「ありがとう九条くん」
樹「で、なにすんだ」
千華「ビブスの枚数を確認しろって言ってたよ。あ、これじゃない?」
壁際の棚にあるカゴの中には、ビブスが入っていた。千華はカゴに近寄る。
樹は「ふーん」と返事をしつつ、扉を閉めた。
薄暗くなった体育倉庫内に「九条くん、そこの電気つけてもらっていい?」と千華は言う。樹が電気のスイッチの側に行き、パチパチとするがつかない。
樹「つかねーぞ、これ」
千華「あれ、切れてるのかな?」
千華「これじゃちょっと暗いし、やっぱり扉を開けといた方がよさそうだね」
千華は扉に手をかけ力を入れるが、またしても開かない。
樹から「なにやってんだ」と、言わんばかりの視線を受け、樹と交代する。
先ほどと同じように、樹が力を入れて扉を開ける──、
樹「──あ?」
事はなく。開かない扉を見て首を傾げる樹。
樹「ふんッ、ぐッ。ビクともしねー」
千華「ええっ」
千華も反対側から扉を開けようとするが、微塵も動かない。
千華(これは……、と、閉じ込められた?)
千華「そんなぁ! どうしよう、九条く……って、え」
樹は「よいしょ」と壁に立てかけられていたマットレスを床に敷き、ごろんと仰向けになった。頭の後ろで腕を組んでいる。
千華「くつろいでる場合しゃないよっ!」
樹「開かねーんだから、したかないだろ。俺らが二人とも帰らなかったら、晴せんが来る」
そう言われて千華は考える。
千華(──今は昼休み。私のクラスは、次の授業が田崎先生で、もうすぐはじまるから私が教室に戻らなかったら、先生がきてくれるはず。確かに、長い時間ではないかもしれない)
千華(…………)
千華は無言で、樹が居るマットレスの端っこに腰を下ろした。
樹「…………」
千華「…………」
目を閉じている樹。体育座りの千華。
しばらくして、すぅと寝息が聞こえてきた。
千華(!!)
(この状況で寝てる? 嘘でしょっ)
ススッと少し移動して、樹の顔を覗き込む千華。
千華(綺麗な顔……)
(寝てればガラは悪くないんだ、九条くん)
柔らかそうなシルバーの髪、長いまつ毛、すっと通った鼻筋。少しあいている口。
樹はイケメンである。
千華(九条くんがつけてるピアス、フープピアスって言うのかな。可愛い)
(でも私は、大人になっても怖くてピアスあけれなさそう)
(考えただけで、痛い)
じーっとピアスを見ていると、樹が頭の位置を動かした。
樹「ん……」
千華「っ!」
とっさに距離を取る千華。
樹は頭を動かした拍子に、前髪がさらりと目元にかかった。
それに気づいた千華は、再びそーっと近づく。樹の前髪を目元からはらってあげようと、手を伸ばした時。
──パシッと腕を掴まれた千華。
千華が鍵を開け、横にスライドする扉に手をかけるが建て付けが悪いのか中々開かない。
樹「俺がやる」
千華にかわり、ガッと力を入れて強引にあけた樹。
千華「ありがとう九条くん」
樹「で、なにすんだ」
千華「ビブスの枚数を確認しろって言ってたよ。あ、これじゃない?」
壁際の棚にあるカゴの中には、ビブスが入っていた。千華はカゴに近寄る。
樹は「ふーん」と返事をしつつ、扉を閉めた。
薄暗くなった体育倉庫内に「九条くん、そこの電気つけてもらっていい?」と千華は言う。樹が電気のスイッチの側に行き、パチパチとするがつかない。
樹「つかねーぞ、これ」
千華「あれ、切れてるのかな?」
千華「これじゃちょっと暗いし、やっぱり扉を開けといた方がよさそうだね」
千華は扉に手をかけ力を入れるが、またしても開かない。
樹から「なにやってんだ」と、言わんばかりの視線を受け、樹と交代する。
先ほどと同じように、樹が力を入れて扉を開ける──、
樹「──あ?」
事はなく。開かない扉を見て首を傾げる樹。
樹「ふんッ、ぐッ。ビクともしねー」
千華「ええっ」
千華も反対側から扉を開けようとするが、微塵も動かない。
千華(これは……、と、閉じ込められた?)
千華「そんなぁ! どうしよう、九条く……って、え」
樹は「よいしょ」と壁に立てかけられていたマットレスを床に敷き、ごろんと仰向けになった。頭の後ろで腕を組んでいる。
千華「くつろいでる場合しゃないよっ!」
樹「開かねーんだから、したかないだろ。俺らが二人とも帰らなかったら、晴せんが来る」
そう言われて千華は考える。
千華(──今は昼休み。私のクラスは、次の授業が田崎先生で、もうすぐはじまるから私が教室に戻らなかったら、先生がきてくれるはず。確かに、長い時間ではないかもしれない)
千華(…………)
千華は無言で、樹が居るマットレスの端っこに腰を下ろした。
樹「…………」
千華「…………」
目を閉じている樹。体育座りの千華。
しばらくして、すぅと寝息が聞こえてきた。
千華(!!)
(この状況で寝てる? 嘘でしょっ)
ススッと少し移動して、樹の顔を覗き込む千華。
千華(綺麗な顔……)
(寝てればガラは悪くないんだ、九条くん)
柔らかそうなシルバーの髪、長いまつ毛、すっと通った鼻筋。少しあいている口。
樹はイケメンである。
千華(九条くんがつけてるピアス、フープピアスって言うのかな。可愛い)
(でも私は、大人になっても怖くてピアスあけれなさそう)
(考えただけで、痛い)
じーっとピアスを見ていると、樹が頭の位置を動かした。
樹「ん……」
千華「っ!」
とっさに距離を取る千華。
樹は頭を動かした拍子に、前髪がさらりと目元にかかった。
それに気づいた千華は、再びそーっと近づく。樹の前髪を目元からはらってあげようと、手を伸ばした時。
──パシッと腕を掴まれた千華。