彼氏がふたり B



結局その後は、唯斗くんと遊ぶことなく家に帰った。無断外泊したことについて母親に文句を言われ、不貞腐れるよう部屋に籠っていたらいつの間にか夕方になっていた。


ベッドに寝転がってインスタを開く。画面には穂波や利香の夏を楽しんでいる写真が目に入った。
いいな。穂波なんて相手のがデカいって悩んでたのにこんな仲良しラブラブしてんじゃん。


昨日は私も楽しかったのにな。昨日が遠い昔のことみたいだ。
憂鬱な気分のまま、フォルダを開いて昨日の写真をタップした。

#お化け屋敷 #デート #顔面蒼白……とタグを打ち込んで途中で指が止まる。




「……ぷっ。壮真の顔、真っ青じゃーん」


スマホ越しでも分かる、壮真の顔色に自然と顔がニヤける。

あーあー。こんな予定じゃ無かったのに。
唯斗くんと仲良くなる予定が、壮真の事が気になるなんて。

送信、とインスタに投稿したところで、ピコンとスマホの上部にメッセージが表示された。


─────────
(壮真)
家、出られるか?
─────────


壮真からの個人的なメッセージは珍しい。
でも、今は会う気になれなくて「無理」と返した。

すると、すぐまたメッセージが入ってくる。


─────────
(壮真)
美麻の家の前にいる
─────────


「はぁ?なんで??」



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