この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です

「もしもし…坂寄?どーした?」



「先輩、帰って来たら
またたまにゲームしてください
サークルも今までどおりお願いします」



「うん…」



「先輩…
私と別れてください」



「え…?」



「アレ…聞こえなかったかな…
もしもし、先輩?」



「聞こえてるよ、ちゃんと」



「じゃあなんで?
いつもみたいに、うん…て言ってください」



「坂寄、本気で言ってんの?
別に今じゃなくても…帰ったら話そうよ」



「先輩、優しいですね
帰って来たら一応連絡くださいね
先輩のアパートに
充電器忘れてきちゃったし…」



「もちろん連絡するけど…」



「私ひとりでなんかモヤモヤしてて…
今日ハッキリさせたいです
この電話をもちまして
私、先輩の彼女おります!
帰省、楽しんできてください
じゃあ、先輩…」



「坂寄、大丈夫?」



「何がですか?
暑いからおかしくなったわけじゃないので…
ちゃんと涼しい部屋にいます
先輩、先輩と宮澤が私には羨ましいです」



「なにが?」



「夏目先輩と宮澤って
兄弟みたいに仲いいけど兄弟じゃない
羨ましくて仕方ないです」



「坂寄
坂寄の好きな人って…」



「じゃあ先輩
楽しい夏休みを!
お土産待ってますね」



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