この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です

バターの香ばしい匂いがした



まだベッドにいる



私、また寝ちゃってたんだ



朝ピンポーンて…宮澤がきて…

フレンチトースト食べたいとか言って…

先輩が作ってたぽい


ゲームがなんとか…って話してた



静か…



もぉ宮澤帰ったかな?



まさか先輩も出掛けたとか?



「坂寄起きた?」



起きあがろうとしたら
パーテーションの向こうから
先輩の声が聞こえた



「あ…はい…起きました!
おはようございます」



「おはよう…って言っても
もぉ昼前だけどね」



「え、あ…こんにちは」



「坂寄寝ぼけてる?
昨日よく眠れなかったんじゃない?」



「大丈夫です
あ、朝、宮澤ですか?
よく来るんですか?」



「うん
アパートすぐ近くだから…」



「仲いんですね
幼なじみでしたっけ?
宮澤から聞きました」



「うん」



「あ、昨日もしかして
宮澤と約束してました?
私が急に来たから…」



「約束なんてしてないけど
いつも一緒にいるカンジ
ずっと小さい頃から一緒だったから…」



「すごーい
それってどんな感覚なんだろう
私、幼なじみいないからな…
兄弟みたいな?」



兄弟



私とお兄ちゃんみたいな?



「兄弟…んー…
なんかそれとも違う」



「性別違ったら
恋してるかもですね!
ほら、よくドラマとかで…」



「…」



先輩が神妙な表情だったから
途中で話すのを止めた



ん?



「あ、なんかいい匂いする」



「フレンチトースト食べる?
坂寄のもあるよ」



「食べたいです!
お腹空いたー」



伸びをしてベッドから出た



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