この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です
お母さんから電話がきて
結局数日実家に帰ることにした
お兄ちゃんが旅行に行った
その日に帰った
さくらんぼ狩りはもぉ終わっちゃったね
お兄ちゃんに会う気はない
会う勇気はない
「瑛茉ずっと帰ってこないで
そんなバイト忙しいの?」
「うん、忙しい」
「あ、ユアちゃん結婚するんだってね」
「うん、そうみたいだね
高校の時のバイト先の人とだって」
ユアちゃんは
私の高校の時の同級生
3年間同じクラスで
よくうちにも遊びに来てた
秋に結婚するらしい
高校の時バイトしてたお店の店長のことが
ユアちゃんは好きだった
店長には奥さんがいた
よくユアちゃんから相談されてた
結婚してるのに
ユアちゃんを好きな素振りをするとか
それって思わせぶりじゃん!
大人ってズルいよね!
とか思いながら
いつもユアちゃんの話を聞いてた
でもユアちゃん
その人と結婚するんだね
店長は
ちゃんとユアちゃんが好きだったんだ
ユアちゃん
幸せになってね
「瑛茉は?
彼氏とどおなの?」
「よく彼のアパート行ってるよ」
ふたりきりではないけどね
「そぉ…仲いいのね
今度うちにも連れてきてよ」
「彼も明日実家帰るんだって
私と違って飛行機で帰るから
しばらく帰ってこないって」
「飛行機?
じゃあ瑛茉がもしその人と結婚したら………」