あなたの霊を守ります 霊キャプター宮城の一日
第2章 透明世界 シンクロワールド
宮城はというとジョーの抵抗を受けて気絶していた。 白く掴みどころの無い泡のような世界の真ん中で。
気を失ってからどれくらいの時間が経ったのだろう? 何処からか宮城を呼ぶ声が聞こえてくる。
「いつまで倒れてるんだ? 反撃の時が来たんだぞ。 いつまで倒れてるんだ?」 その声は宮城の意識の中で何度も呼び掛けてきた。
「この声は、、、?」 「さあ立ち上がるんだ。 宮城茂。 お前の反撃の時が来たんだ。」 「しかしこのままでは、、、。」
「大丈夫だ。 俺たちがお前には付いている。 羊舞の弱点も俺たちは分かっているんだ。」 「何だって? 羊舞の弱点が、、、?」
「そうだ。 俺たちの力をお前に捧げる。 さあ立ち上がるんだ。」 宮城はそっと目を開けた。
そこにはジョーやアーシー、そしてスコットやキャシーの姿が見えていた。 「焦るな。 お前はまだシンクロワールドの中に居るんだ。 彼らにお前の姿は見えないしお前の声も聞こえない。」
「じゃあどうすれば?」 「今はまだ動かなくていい。 羊舞が念力を発した時にお前の念導力を発揮すればいいんだ。」
「それはいつだい?」 「俺たちにもそれは分からない。 気紛れな女だからな。」
宮城が羊舞の動きを見張っていた頃、ニューデリーではキャプター同士が悲惨な殺し合いを始めていた。 「これでは手が出せない。 どうしたらいいんだ?」
インド軍でさえ手が出せないほどの悲惨な殺し合いである。 ある者は壁に埋められ、ある者は屋根に突き刺さった。
ある者は生きながらにして骨を焙りだされ、またある者は内臓を引き裂かれた。 国連もあまりの惨状に目を見開くしかなく打つ手が無いことを露呈してしまった。
「これではキャプターの安全が保てない。 どうすればいいんだ?」 「全ては羊怪の仕業だよ。 それさえ封じることが出来たら、、、。」
「それは分かっている。 しかしそれをやるには宮城のような強力なキャプターが必要なんだ。」 「なんとかキャプターを集めなければ、、、。」
「ようこそ。 キャプター諸君。 同士討ちが始まったようだね?」 「それで何をしたいんだ?」
「決まっているじゃないか。 君たちを殲滅するのさ。」 「そんなことはさせない。」
「ほう。 君たちに私を阻止する力が有ると思っているのかな?」 「必ず有るさ。 やってやるよ。」
「ではその日を楽しみに待っているよ。 さらば。」 羊怪は消えた。
「このままでいいのか? アーシー。」 「私にもそれは分からん。 ただやらねばならんことだけは分かってるんだ。」
キャシーも苦しい顔で天井を仰いだ。 何をどうすればいいのか、誰にも分からないのである。
その時、激しい雷鳴が轟いた。 「何だ?」
「分からない。 でも何かが起きる。」 アーシーが目を凝らした時だった。
一筋の光が自分の元へ伸びてきた。 「何だこれは?」
「心配しなくていい。 過去のキャプターたちの魂だ。 今、彼らが洗礼を受けてお前たちの下へ降り立とうとしているのだ。」
「その声は?」 「私はカンザスフリージア。 1300年前に戦っていたキャプターの一人だ。 君たちの下へキャプターたちが集い始めたのだよ。」
「カンザス? いつだったか聞いたことが有る。 100万人の国民を守るために死んでいったキャプターが居たと。」 「過去のことはどうでもいい。 大事なのは今だよ。 スコット君。」
「それはそうだがどうやって?」 「羊舞の念力の下で宮城茂は閉じ込められている。 今、古のキャプターたちが力を合わせようと動き始めている。 もう少し待ってくれ。」
その間にニューデリーは大混乱に陥ってしまった。 さらにはプラハでも。
「いかん。 キャプター同士の殺戮が全世界に広がりつつある。 何とかして停めなければ、、、。」 「アーシー、それは無理だ。」
「なぜ?」 「これは羊怪が仕組んだ罠なんだよ。」
「罠?」 「そう。 君たちのようにバリアを張れたキャプターは逃れられたんだがバリアを張らなかったキャプターたちは皆殺しの殺戮を繰り返している。」
「ロンドンとパリから応援を得ましたよ。 アーシー。」 ジョーがホッとした顔でアーシーを見た。
「このまま耐えていければいいんだが、、、。」
宮城茂は再び倒れてしまった。 「彼は底知れぬ意識の沼に落ちたのだ。 彼はそこで何かを知るに違いない。」
その頃、鹿児島のレーシングコースでは、、、? 渚がスプリンターフラッシュの4号車を作ろうと動いていた。
「4号車だって?」 「そう。 3号車まで実験段階で粉々に砕け散ったのよ。 諦めきれないわ。」
「しかし、それだけの予算は?」 「笹尾さんとも話し合ってやっと出してもらえることになったの。 だからお願い。 設計を手伝って。」
渚はいつになく真剣だ。 テストドライバーだった宮城茂が居ないのに、、、。
「作っても乗る人が居ないんじゃ話にならんわ。」 「私が乗るわ。」
「でも吉田さんは、、、。」 「テストドライバーの資格は持ってるのよ。 宮城さんが居たから任せておいただけ。」
「それならいいけど、、、。」 しかし他のエンジニアはどうも腑に落ちない。
そもそもスプリンターフラッシュは3台までの予定だったはず。 何ゆえに4台目を作るのか?
そしてその4台目が砕け散ったらどうするつもりなのか? 不思議なことばかりだ。
永井彰浩はメンテナンスブースを見回して煙草に火を点けた。 その瞬間、、、。
「助けてくれーーーーーー‼」 廊下を歩いていた笹尾は奇妙な叫び声を聞いた。
「何だ?」 「どうやらメンテナンスブース辺りじゃないかと、、、。」
「あの辺には誰も居ないはずだぞ。」 「いや、永井が居るはずだ。 フラッシュの設計図を書こうとしていたから。」
笹尾はブースまで走った。 そしてドアを開けてみた。
「永井‼」 そこには焼け焦げて黒くなった永井が転がっていた。
「何が有ったんだ?」 「まったく意味不明だ。 煙草で焼け死ぬのか?」
川嶋も笹尾の通報を受けて隊員を連れて飛び込んできたのだが、、、。 「こりゃひでえなあ。 焼き鳥じゃないか。」
「この辺に火の気は無いはずだな。」 「そうだ。 隣はエンジンブースなんだから火は厳禁にしてある。」
「じゃあ何で煙草を?」 「分からん。 永井だってここで煙草を吸ったことは無いはずだ。」
そう、この部屋は火気厳禁である。 その部屋で永井は火達磨になって死んでいた。 「何をどうしたらこうなるんだ?」
「分からんことばかりだよ。 宮城君が居れば少しは謎も解けたろうに。」 笹尾は窓の外に目をやった。
「あれは何だ?」 彼が指差す方向に川嶋も眼をやる。 しかし彼には何も見えない。
「笹尾さん 何も見えないよ。」 「嘘だ。 笑っている女が居たぞ。」
「女?」 「外に女なんて居ないけど、、、。」
「いや、確かに居た。」 笹尾はまるで操られるように部屋から出て行った。
「追い掛けろ。 笹尾さんは変だ。」 川嶋は数人の隊員と笹尾を追い掛けていった。
「馬鹿ね。 追い掛けても無理なのに、、、。」 渚は川嶋たちを見送ってから意味深な笑みを浮かべて見せた。
宮城はというとあのモヤモヤした世界を歩き続けている。 (これはいったい何処まで続いてるんだ?)
どれだけ歩いても景色は一向に変わらない。 白い靄に包まれたままである。
異次元の中をさ迷っているようなそんな気さえする。 そこに妙な声が聞こえてきた。
「宮城さん 左に曲がってくれない?」 「誰だ?」
「誰だっていいでしょう? 言う通りに動いて。」 「お前は、、、。」
「私の正体を探ろうとしても無理よ。 あなたの念導力は封じてあるから。」 「何だって?」
「さあ、言う通りに動きなさい。 宮城茂。」 「その声は羊舞。」
「よく分かったわね。 でもあなたはもう私には抵抗できないのよ。 まだ分からないの?」 「ここで負けるわけにはいかないんだ。」
「どうしても死にたいなら死なせてあげるわよ。」 「何だ? 体が締め付けられていく。」
「さあ、どれくらい耐えられるかしらねえ?」 宮城が意識を失いかけた頃、、、。
「キャーーー‼」っという悲鳴が聞こえて目の前の靄が消えてしまった。 「ここは?」
気を失ってからどれくらいの時間が経ったのだろう? 何処からか宮城を呼ぶ声が聞こえてくる。
「いつまで倒れてるんだ? 反撃の時が来たんだぞ。 いつまで倒れてるんだ?」 その声は宮城の意識の中で何度も呼び掛けてきた。
「この声は、、、?」 「さあ立ち上がるんだ。 宮城茂。 お前の反撃の時が来たんだ。」 「しかしこのままでは、、、。」
「大丈夫だ。 俺たちがお前には付いている。 羊舞の弱点も俺たちは分かっているんだ。」 「何だって? 羊舞の弱点が、、、?」
「そうだ。 俺たちの力をお前に捧げる。 さあ立ち上がるんだ。」 宮城はそっと目を開けた。
そこにはジョーやアーシー、そしてスコットやキャシーの姿が見えていた。 「焦るな。 お前はまだシンクロワールドの中に居るんだ。 彼らにお前の姿は見えないしお前の声も聞こえない。」
「じゃあどうすれば?」 「今はまだ動かなくていい。 羊舞が念力を発した時にお前の念導力を発揮すればいいんだ。」
「それはいつだい?」 「俺たちにもそれは分からない。 気紛れな女だからな。」
宮城が羊舞の動きを見張っていた頃、ニューデリーではキャプター同士が悲惨な殺し合いを始めていた。 「これでは手が出せない。 どうしたらいいんだ?」
インド軍でさえ手が出せないほどの悲惨な殺し合いである。 ある者は壁に埋められ、ある者は屋根に突き刺さった。
ある者は生きながらにして骨を焙りだされ、またある者は内臓を引き裂かれた。 国連もあまりの惨状に目を見開くしかなく打つ手が無いことを露呈してしまった。
「これではキャプターの安全が保てない。 どうすればいいんだ?」 「全ては羊怪の仕業だよ。 それさえ封じることが出来たら、、、。」
「それは分かっている。 しかしそれをやるには宮城のような強力なキャプターが必要なんだ。」 「なんとかキャプターを集めなければ、、、。」
「ようこそ。 キャプター諸君。 同士討ちが始まったようだね?」 「それで何をしたいんだ?」
「決まっているじゃないか。 君たちを殲滅するのさ。」 「そんなことはさせない。」
「ほう。 君たちに私を阻止する力が有ると思っているのかな?」 「必ず有るさ。 やってやるよ。」
「ではその日を楽しみに待っているよ。 さらば。」 羊怪は消えた。
「このままでいいのか? アーシー。」 「私にもそれは分からん。 ただやらねばならんことだけは分かってるんだ。」
キャシーも苦しい顔で天井を仰いだ。 何をどうすればいいのか、誰にも分からないのである。
その時、激しい雷鳴が轟いた。 「何だ?」
「分からない。 でも何かが起きる。」 アーシーが目を凝らした時だった。
一筋の光が自分の元へ伸びてきた。 「何だこれは?」
「心配しなくていい。 過去のキャプターたちの魂だ。 今、彼らが洗礼を受けてお前たちの下へ降り立とうとしているのだ。」
「その声は?」 「私はカンザスフリージア。 1300年前に戦っていたキャプターの一人だ。 君たちの下へキャプターたちが集い始めたのだよ。」
「カンザス? いつだったか聞いたことが有る。 100万人の国民を守るために死んでいったキャプターが居たと。」 「過去のことはどうでもいい。 大事なのは今だよ。 スコット君。」
「それはそうだがどうやって?」 「羊舞の念力の下で宮城茂は閉じ込められている。 今、古のキャプターたちが力を合わせようと動き始めている。 もう少し待ってくれ。」
その間にニューデリーは大混乱に陥ってしまった。 さらにはプラハでも。
「いかん。 キャプター同士の殺戮が全世界に広がりつつある。 何とかして停めなければ、、、。」 「アーシー、それは無理だ。」
「なぜ?」 「これは羊怪が仕組んだ罠なんだよ。」
「罠?」 「そう。 君たちのようにバリアを張れたキャプターは逃れられたんだがバリアを張らなかったキャプターたちは皆殺しの殺戮を繰り返している。」
「ロンドンとパリから応援を得ましたよ。 アーシー。」 ジョーがホッとした顔でアーシーを見た。
「このまま耐えていければいいんだが、、、。」
宮城茂は再び倒れてしまった。 「彼は底知れぬ意識の沼に落ちたのだ。 彼はそこで何かを知るに違いない。」
その頃、鹿児島のレーシングコースでは、、、? 渚がスプリンターフラッシュの4号車を作ろうと動いていた。
「4号車だって?」 「そう。 3号車まで実験段階で粉々に砕け散ったのよ。 諦めきれないわ。」
「しかし、それだけの予算は?」 「笹尾さんとも話し合ってやっと出してもらえることになったの。 だからお願い。 設計を手伝って。」
渚はいつになく真剣だ。 テストドライバーだった宮城茂が居ないのに、、、。
「作っても乗る人が居ないんじゃ話にならんわ。」 「私が乗るわ。」
「でも吉田さんは、、、。」 「テストドライバーの資格は持ってるのよ。 宮城さんが居たから任せておいただけ。」
「それならいいけど、、、。」 しかし他のエンジニアはどうも腑に落ちない。
そもそもスプリンターフラッシュは3台までの予定だったはず。 何ゆえに4台目を作るのか?
そしてその4台目が砕け散ったらどうするつもりなのか? 不思議なことばかりだ。
永井彰浩はメンテナンスブースを見回して煙草に火を点けた。 その瞬間、、、。
「助けてくれーーーーーー‼」 廊下を歩いていた笹尾は奇妙な叫び声を聞いた。
「何だ?」 「どうやらメンテナンスブース辺りじゃないかと、、、。」
「あの辺には誰も居ないはずだぞ。」 「いや、永井が居るはずだ。 フラッシュの設計図を書こうとしていたから。」
笹尾はブースまで走った。 そしてドアを開けてみた。
「永井‼」 そこには焼け焦げて黒くなった永井が転がっていた。
「何が有ったんだ?」 「まったく意味不明だ。 煙草で焼け死ぬのか?」
川嶋も笹尾の通報を受けて隊員を連れて飛び込んできたのだが、、、。 「こりゃひでえなあ。 焼き鳥じゃないか。」
「この辺に火の気は無いはずだな。」 「そうだ。 隣はエンジンブースなんだから火は厳禁にしてある。」
「じゃあ何で煙草を?」 「分からん。 永井だってここで煙草を吸ったことは無いはずだ。」
そう、この部屋は火気厳禁である。 その部屋で永井は火達磨になって死んでいた。 「何をどうしたらこうなるんだ?」
「分からんことばかりだよ。 宮城君が居れば少しは謎も解けたろうに。」 笹尾は窓の外に目をやった。
「あれは何だ?」 彼が指差す方向に川嶋も眼をやる。 しかし彼には何も見えない。
「笹尾さん 何も見えないよ。」 「嘘だ。 笑っている女が居たぞ。」
「女?」 「外に女なんて居ないけど、、、。」
「いや、確かに居た。」 笹尾はまるで操られるように部屋から出て行った。
「追い掛けろ。 笹尾さんは変だ。」 川嶋は数人の隊員と笹尾を追い掛けていった。
「馬鹿ね。 追い掛けても無理なのに、、、。」 渚は川嶋たちを見送ってから意味深な笑みを浮かべて見せた。
宮城はというとあのモヤモヤした世界を歩き続けている。 (これはいったい何処まで続いてるんだ?)
どれだけ歩いても景色は一向に変わらない。 白い靄に包まれたままである。
異次元の中をさ迷っているようなそんな気さえする。 そこに妙な声が聞こえてきた。
「宮城さん 左に曲がってくれない?」 「誰だ?」
「誰だっていいでしょう? 言う通りに動いて。」 「お前は、、、。」
「私の正体を探ろうとしても無理よ。 あなたの念導力は封じてあるから。」 「何だって?」
「さあ、言う通りに動きなさい。 宮城茂。」 「その声は羊舞。」
「よく分かったわね。 でもあなたはもう私には抵抗できないのよ。 まだ分からないの?」 「ここで負けるわけにはいかないんだ。」
「どうしても死にたいなら死なせてあげるわよ。」 「何だ? 体が締め付けられていく。」
「さあ、どれくらい耐えられるかしらねえ?」 宮城が意識を失いかけた頃、、、。
「キャーーー‼」っという悲鳴が聞こえて目の前の靄が消えてしまった。 「ここは?」