あなたの霊を守ります 霊キャプター宮城の一日
 「宮城君じゃないか。 生きてたのか?」 笹尾を追い掛けていた川嶋が飛んできた。
「川嶋さん、、、。」 「いきなり消えるから心配したぞ。」
「すいません。 自分でもびっくりしてて、、、。」 「それはいい。 笹尾が変なんだ。」
「笹尾さんが?」 「そうだ。 外に女が居るって聞かないんだよ。」
「女?」 「そう。 何でも窓に映ってたんだそうだ。」
「窓に映る女?」 宮城は倒れていた体を起こした。
 「ボス、それは羊舞が身移りしたあの人ですよ。」 「ジョー。 そうか。」
「シンクロワールドで羊舞は倒されました。 でもまだまだ生きてます。 この世界では。」 「しぶといやつだな。」
「それよりも羊怪の力が強過ぎて世界が混乱してきてる。 そっちのほうが大変ですよ。」 「分かった。 俺はどうすればいい?」
「まずは女を追い掛けている男性を、、、。」 「分かった。」
 宮城は近くに落ちていた葉っぱを拾って吹いた。 葉っぱは輝きながら飛んで行った。
「あっちの方角だな。 川嶋さん 俺が行ってきます。」 「大丈夫なのか?」
「任せてください。 それよりもセンターのほうを頼みます。」 「分かった。 死ぬなよ。」
 宮城はレーシングコースを突っ切って魔のヘアピンにまでやってきた。 「来たわね。 宮城茂。」
「羊舞。」 「この先へは行かせないわよ。」
 羊舞が腕を振り上げるとガードレールが宮城に襲い掛かってきた。 「これは、、、。」
「ボス、幻覚です。 気を付けてください。」 「小癪な、、、、。」
「羊舞じゃないな。 そうか、弱点は舌だ。」 宮城は不意に念導力を込めていく。
「何をしようというのかね? 宮城君。」 「お前の舌を捻じ曲げるだけだ。」
「ほう、それで何が出来ると?」 宮城はさらに念導力を込めていく。
「ボス‼ そこです‼」 ジョーの叫び声が聞こえた。
「うわーーーーーーー‼」 幻覚を操っていた男が闇に消えていった。
 「宮城君 大丈夫か?」 「ええ。 何とか。」
「今のは何なんだ?」 「分かりません。 ただ、この島の怪奇事件を起こし続けているやつらの僕だと思います。」
「怪奇事件を起こしているやつら?」 「そういうやつらも居るんですよ。 この世界には。」
「秘密結社みたいな連中か?」 「それよりもっと質が悪いかもね。 さあ笹尾さんを迎えに行きましょう。」
 当の笹尾はレーシングコースを見下ろせる高い丘の上にまで歩いてきていた。 「何で俺がここに居るんだ?」
考えてみても意味が分からない。 永井の死体を見て窓に映った女を見た。 それから一心不乱に歩いてきたのだ。
「意味の分からん事件が多いな この島は。」 「そうだ。 笹尾。 私との約束を忘れたのか?」
「誰だ?」 彼の前に白いひげを蓄えた男が立っている。
「これでも分からんか?」 男は笹尾を睨みつけているが、、、。
 「お前はいったい誰なんだ?」 「そうか。 とうとう忘れてしまったのか。 ならばこの島に災いを齎しお前に地獄の底で思い出させるしかないようだな。」
男は不気味な含み笑いを残して消えてしまった。 「笹尾さーーーーん‼」
そこへ川嶋と宮城がやってきた。 「何、ボーっとしてるんですか?」
「いや、何でもないよ。」 「誰かここに来ましたね?」
「何も無い。 さあ帰ろう。」 「笹尾さん 何か見ましたね? 話してください。」
「君には関係の無いことだ。 私は喋らない。」 「そうですか。 でもいずれ話してもらいますよ。 奇妙な殺気を感じるんです。」
「殺気だって?」 「そう。 笹尾さんは何かを見ている。 何も無ければいいが、、、。」
 笹尾は管理センターへ戻っていったが川嶋は不安が不安を呼んで警備隊に巡回を指示していった。

 それから数日後、永井の葬式も無事に済んで渚と黒川俊樹がメンテナンスブースで懇談している時、、、。 「助けてくれーーーーーーー‼」
「今度は誰だよ?」 「あの声は笹尾さんじゃないの?」
「笹尾さん? 確か昨日からロンドンに行ってるはずだけど、、、。」 「おかしいわねえ。 あの声は笹尾さんだったわよ。」
「とにかく行ってみよう。」 黒川が管理センターに飛び込んでみると、、、。 笹尾は壁に埋まって頭だけを出していた。
「なんてこった。 これじゃあ何も出来ないぞ。」 警備隊も駆け付けてはきたが異様な様子に手を出せないでいる。
「笹尾さん、何か覚えは無いのか?」 「何も無い。 俺には分からん。」
「宮城君を呼んでくれ。 大至急だ‼」 川嶋の絶叫に隊員は転がり出て行った。
「助けてくれ! 俺は悪くない‼ 助けてくれ!」 笹尾は叫んでいるが周りに居る人たちはどうしたらいいのか分からない。
 「何が有ったんです?」 15分ほどして宮城も飛んできた。 そして笹尾を見るなり、、、。
「これは羊怪の呪いだ。 みんなはここから離れてくれ。」 「しかしそれでは、、、。」
「笹尾さんの命を救えるかどうかギリギリの決断だ。 みんなは離れてくれ。」
「分かった。 撤収だ。 何か有ったらすぐに呼んでくれよ。」 川嶋も色を失った顔でそう叫んでから部屋を出て行った。
 「笹尾さん こないだの質問に答えてください。 何を見たんですか?」 「それは話せん。」
「だったらあなたはこのまま死にますよ。 いいんですか?」 「それは困る。 グググググ、、、。」
「頸が締まってきてるな。 笹尾さん、これでも話しませんか?」 「話せん。」
「ますます頸が締まりますよ。 いいんですか?」 「ググググ、、、。 白髭の男だ。 1500年前に俺に呪いを掛けた男だ。」
それだけ言うと笹尾は力尽きて死んでいった。 「1500年前に笹尾さんに呪いを掛けた男、、、。 それはいったい?」
 宮城は念導力を使って笹尾の死体を壁から取り出した。 見るも無残に腹が抉られている。
「これは、、、。」 「そうだ。 分かったか。 それがこの男の呪いだ。」
「誰だ?」 「誰でもいいではないか。 なあ、霊キャプターさんよ。」
「何で俺のことを知ってるんだ?」 「私は以前、君と戦っているんでね。 また会えて嬉しいよ。 さらば。」
 この世には解けない謎が山ほど有ると言われている。 笹尾の呪いもその一つに過ぎないのだろう。
「でも俺は必ず解いてみせる。 この命が尽きても必ず、、、。」 夕日に宮城は決意した。
笹尾の敵を討つんだと。

 「呪いの陰、、、か。 それにどういう意味が有るんだ?」 宮城茂はレーシングコースを丘の上から眺めている。
その何処かに謎を解く鍵が在りそうな気がして。 「宮城さん ここに居たの?」
「渚。 何か用でも?」 「これからスプリンターフラッシュ4号の設計をするのよ。 それで何か希望は無いかと思って。」
「希望ねえ。 これといって無いよ。 今までの車はどれも最高だったから。」 「そう。 面白くないわね。」
「そうかな? いきなり車がジャンプしたりグライダーみたいに滑空したりしたら変だろう。」 「面白いじゃない。 ぜひやってみたいわ。」
「趣味悪いなあ。 メンテナンスは君がやるんだろう? メンテナンスの時に「分からないから代わりにやってくれ!」って叫ばれても困るよ。」
「そんなことはしないわよ。 設計図は私が持ってるんだから。」 「そりゃそうだろうけど、、、。」
 「オー、宮城君。 ちょいと話が有るんだがいいかい?」 そこへ川嶋が走ってきた。
「じゃあこれで。」 「頑張ってよ。」
「仲いいんだなあ。」 「それほどでもないよ。 で、用事って?」
「実は笹尾さんの死因なんだがね。」 彼は真面目な顔で死体検案書を開いた。
「これを見てくれ。 何処にも外傷らしき物が見当たらないんだ。」 「フムフム。 これは一大事だな。」
「どうかしたのか?」 「いやね、笹尾さんが壁から出てきた時、腹だけが異常に抉れてたんだ。」
「それは知ってる。」 「ところがさ、血の一滴も漏れてないんだよ。」
「ということは?」 「レーザーメスでも使ったような切り口になってたんだ。」 「おいおい、壁の中に居たわけだろう? どうやってレーザーメスを?」
「それが分かれば苦労しない。 この案件は俺に任せてくれないか?」 「いいけどどうやって調べるんだ?」
「調べる方法なんていくらでも有るよ。」 「とは言うけど、、、。」
< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop