最強の花嫁は最愛の花婿を守る為に牙を剥く
「…俺ァ別に構わねぇぜ。」
「あんたには聞いてねぇ!!関係ない奴は黙ってろ!!」
「おいこら、尊。劉さんのお嬢さんに何て口を利きやがる。」
「はぁ!?」
「すまねぇな、壱さん。尊の奴、急に別嬪の奥さんが出来て、興奮しちまったらしい。」
「OK、OK。彼の気持ちはよく分かりますよ、爸。こんな絶世の美女を自分のもんにできるんです、ハイになるのも無理はありません。」
「は!?へ!?え!?」
「政略結婚とはいえ幸せ者じゃねぇか、尊。童貞のオメェに、こんな美人でセクシーダイナマイトボディの奥さんが出来るなんてよ。正直ちょっと羨ましいぜ。」
「あ、あんたら、何の話を…。」
尊はそう言いながら、眩暈を覚えてヨロヨロと父親から離れた。
どうやらここに来て、大声を出し続けたツケが回ってきたようだ。
脳の酸素が不足して、目の前の景色がどんどん暗くなっていく。
「お、おい、尊、大丈夫か!?」
急速に遠のく、この世で最も忌み嫌う父親の声。
「…っと、危ねぇ。」
崩れ落ちる最中、背中に感じた力強い感触。
「ところで、お料理まだですか。私、ずっと待ってるんですけど。」
どういうわけか、最後の最後にちょろっとだけカタコトの日本語を話した中国人。
尊はそんな理不尽で混沌とした世界から全力で逃れるように、意識を手放しー…そして、話は八畳一間のオンボロアパートに戻る。