孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
深愛
「━━━━瑛茉。今度の連休、泊まりに来ない?」

二人の距離が、縮まってきたある日。
デートの帰りアパートの前まで送ってくれた真絋が、離れがたそうにしながら言った。

「え?あ…////う、うん////」

「やった!」
嬉しそうに笑う真絋。

“泊まり”ってことは……“そうゆうこと”だよね……?
瑛茉は、誘われたその日から緊張していた。


週末が近づき、前日の夕方。

「明日は泊まりかぁ~
泊まりなんて、何年振り……いや…もっと……
大丈夫かな?私…/////
━━━━あ!仕事行かなきゃ!」

真絋の勤める会社に向かう。

「今日…は…秘書課か!」
シフトを確認して、掃除に向かう。

中に入ると、二人の秘書がまだ残っていた。
「あ…すみません…
掃除…いいですか?」
前髪に触れながら言う。

「え?あー、どうぞ?」
「すぐ、出まーす」

「すみません!」
掃除をしていると、やけに視線を感じる。
秘書の二人が、瑛茉を見つめていた。

「え?あの…何か…?」

「貴女、真絋の今カノよね?」

「え?」

「あ、ごめんなさいね。
私、元カノなの」

「あ!そ、そうですか……」
(なんだろ…真絋を返してとか言われるのかな?)

「フフ…大丈夫よ!」

「え?」

「別に、貴女をどうこうなんてしないから!(笑)
ただ、今の彼女はどんな人なのかなって思っただけ!」

「は、はい。
すみません、こんなので……」

「え?別に(笑)
…………まぁ…真絋の彼女は、疲れるけど頑張って!」

「え?」
(疲れる?)

「だって真絋って、何でも出来るでしょ?」

「はい。まぁ…」

「仕事は完璧だし、スポーツも何でも出来る。
料理も上手だし!
おまけにあの容姿。
非の打ち所がないのよね!
だから私も、油断できないってゆうか……!」
「凄いね……そんな人、本当にいるんだね(笑)」
もう一人の秘書も、苦笑いだ。

「………」

「掃除の邪魔してごめんなさい。
お疲れ様です」
そして二人の秘書は、手をヒラヒラを振り出ていった。

「…………疲れる?
疲れはしないけどな…」

確かに、真絋は何でも器用にこなす。
だから元カノの言っていることもわかる。
真絋が弁当を作ってきてくれた時があったのだが、プロが作ったのかと思う程綺麗な弁当だった。

でも瑛茉は、その分頑張ろうと思えるから楽しいのだ。
どうすれば、可愛いって言ってもらえるのか。
どうすれば、少しでもつり合えるのか。
どうすれば、喜んでもらえるのか。
どうすれば、ヤキモチ妬いてくれるかな?(笑)とか……

そうやっていると、少しだけ…本当に少しだけだが、自分に自信が持てるのだ。
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