孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
変化
真絋と瑛茉━━━━━
それからも順調に、互いへの想いを募らせていく。

そんなある日。

「おはよう!」
真絋が会社に出勤すると、何やら男性社員達が集まって話をしていた。

「北三条、おはよう!」
「おはよー」

「何の話?」

「え!?あ、う、ううん!」

「……??」
首をかしげ、デスクに向かう。

すると、時康が声をかけてきた。
「真絋」

「あ、ヤスおはよ!」

「ヤバいぞ!」
「は?」

「瑛茉ちゃんのことだよ!」
「は?瑛茉?
瑛茉がどうかしたの?」

「あいつ等、瑛茉ちゃんの話してたんだよ!?」
「は?」
あからさまに、真絋の機嫌が悪くなる。

「最近綺麗になったっつって、噂になってんだよ!
ほら!先週、みんなで残業してたじゃん!
俺と真絋が、課長と飲みに行った時!」

「は?でもその日、瑛茉はここの掃除じゃないはずだよ?
ちゃんと、念のために確認したもん」

「でも、何かの用でここに来たっつってたぞ?」

「………」

「まぁ、だからどうってわけじゃねぇけどよ!
気をつけろよ?
瑛茉ちゃん、そうゆうの免疫なさそうだし!」

「………」

瑛茉の美しさが、他の人間にもバレてしまう━━━━━

真絋は、不安と恐怖に押し潰されそうになっていた。


その日、仕事が終わりすぐに瑛茉に連絡をとった。
『もしもし?真絋?』

「瑛茉!今から仕事だよね?」

『うん。今、会社に着いたとこ』

「あ、あのさ!少しでいいから、会えないかな?」

『え?
それは、難しいかな…
ごめんね!』

「じゃあ、今日は何処の掃除担当?」

『今日は、広報課だよ』

「わかった!じゃあ僕も、広報に行くから!」

『う、うん…』

広報課に向かう。
ちょうど瑛茉も、掃除道具を引いて向かってきた。

脇目もふらずに、瑛茉に抱きつく真絋。
「え!!?
ちょっ…ちょっと、ダメだよ真絋!離して!!」

腕の中で、瑛茉がもがいている。
でも、離せない。

「お願い!離して!
ここ、会社だよ!」

しばらく抱き締めて、漸く離した。
「ごめん…」

「どうしたの?」

「瑛茉が、遠くに行きそうだったから」

「え?」


「僕を置いて遠くに行きそうだから、引き留めただけ。
瑛茉に出逢って、どんどん余裕がなくなってるんだ。
…………助けて、瑛茉。
どうすれば、安心できる?」
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