孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
また後日、真絋は秀晃の勤める営業課にいた。

「━━━━富根くんいる?」

「あ…/////北三条さんだ////
え、えーと…富根さんは、今はいません。
1時頃に帰社します!」

「1時か…わかりました!ありがとう!」
そう言って微笑み、一度自身の課に戻った。

「北三条さんとしゃべっちゃった!」
「いいなぁー!」
「やっぱ、カッコいいよね~」

何と言っても真絋だ。
ちょっと話しかけるだけで、女性社員は盛り上がる。


そして13時を少し回った頃、秀晃が会社に帰ってきた。

「ただいま~」

「あ!富根さーん!」

「ん?」

「北三条さんが会いたがってましたよ!」

「は?俺に?
えー!なんか、やだ!」

「はい?」

「俺が、北三条の彼女と仲良いから妬んでんだよなぁー
この前、内緒で会ったことがバレた?
いや、最近衣音のことで頻繁に連絡してることかな?」


「━━━━そんなことまでしてるの?富根くん」

「は?
━━━━ゲッ!!?」
声がして振り向くと、真絋がドア前で腕を組んでもたれるようにして立っていた。

「お疲れ、富根くん」
感情がないように言う、真絋。

「お疲れぇ…」

「瑛茉に会ったの?いつ?」

「せ、先週、ちょっとな。
あ!でも、勘違いすんなよ?
衣音のことで、色々相談してたの!」

「………」

「………」

「………」

「まさか、なんか疑ってんの!?」

「ううん。瑛茉のこと“は”信じてるから」

「瑛茉のこと“は”って、失礼だな(笑)
で?なんだよ」

「頼みがあるんだ!」

「頼み?
失礼な上に、頼みって……」

「ご飯、奢るから!」

「……フッ…俺、高いよ?(笑)」

「いいよ」


退勤後━━━━━真絋と秀晃は、会員制のレストランにいた。

「“高いよ?”って、ほんと高いよね(笑)」

「だから言ったじゃん!
こう見えても俺、御曹司なの」

「へぇー、富根……?」

富吉(とみよし)グループ」

「あ!富吉財閥!?」

「そ!俺、その富吉財閥の御曹司」

「…………見えないね(笑)」

「そ!見えないようにしてたの」

「ふーん。どうして?」

「“そうゆう目でしか”見ないでしょ?
人ってさ、外見でしか他人を見ない。
容姿とか肩書きで。
瑛茉もそれの犠牲者みたいなもんだろ?
だから瑛茉は、生きることも諦めてた」

「………そうだね」


「まぁ、君に会って変わったけどね!」

秀晃は、グラスワインを回しながら真絋に微笑んだ。
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