孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
「━━━━━可愛いーーー!!!
えーと、瑛茉ちゃん!
キャー!!可愛すぎぃーー!!
ねぇねぇ!“ママ”って呼んでぇー!!
ほら、上がって!」

真絋・母に引っ張られて、リビングに向かう。


リビングに入ると、真絋に負けず劣らずのイケメン男性と真絋・母そっくりの女性がいた。

「見てー!!
瑛茉ちゃんよ!」

「やっときたな!
君が、真絋のフィアンセ?」

「は、はい!初めまして。
片浜 瑛茉と申します!」

「俺は、真絋のパパだよ!
ねぇ“パパ”って呼んで?」

「で、私が真絋の姉の千紘(ちひろ)
“ちぃちゃん!”って呼んでね~」

先程までの心配を跳ね返すように、気に入ってもらえた瑛茉。

なんとも、明るい人達だ。
ニコニコして、柔らかくてとても心地良い。


「━━━━ねぇねぇ、瑛茉ちゃーん!」

「は、はい!」

「今度、デートしてー?」
「え?俺も!デートして?」
「私も、瑛茉ちゃんと女子会したーい!」

真絋の母親、父親、千紘の順に瑛茉に食いつくように話しかけている。

「あ、はい!
是非!」

「「「よっしゃっ!!」」」
三人揃って、ガッツポーズをする。

「まずは、私ね!」
「は?俺だろ!?」
「はぁ!?私よ!」

今度は、言い合いを始める三人。

「ちょっと!!」

「「「何!?」」」

「デートは、僕とだけするの!
瑛茉は、僕の奥さんなんだよ!?」

「「「はぁ!?」」」

「は?真絋、ママに口答え?」
「良いのか?お前の恥ずかしい、おねしょ事件を瑛茉ちゃんに暴露すんぞ!?」
「それとも、トイレ事件がいい?」

「なっ…!?/////」

「あ、あの!」

「「「なぁに?瑛茉ちゃん」」」

「さ、先にお話しさせていただきたいことが……
私のこの眼帯の下のことを……」

「聞いていいの?」
「無理しなくていいんだよ?」
「話せる時に、話してくれたら!」

「はい。
私、小学二年生の時に交通事故にあって、左側頭部と左目に傷を負いました。
幸い、脳には全く異常はなかったんですが……
左目の視力は全くなくて、瞼も開きません。
あと縦に傷痕があります。
傷痕をなくす手術も何度もしたんですが、これが限界で………」

そう言って、眼帯を外した。

「お見苦しいところを見せて、すみません。
ただ、真絋さんのご家族には知ってていただきたくて……
あの、こんな私ですが、よろしくお願いします!」

瑛茉は、丁寧に頭を下げた。
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