孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
マンションに帰り着く。

「瑛茉、お風呂入ってきなよ!沸いてるよ?」
「え?真絋が先━━━━」

「ん?」

一緒に入りたいな。

何故かそんなことを思っていた。


「━━━━一緒に入る?(笑)」
真絋が、からかうように言う。

「あ…/////」
瑛茉は、恥ずかしそうに真絋を見上げた。

「え?一緒に入ってくれるの!?」
瑛茉の態度に、パッと表情が明るくなる。

“じゃあ行こ!”と、瑛茉の手を引いた。


「………」

「………」

「………」

「……瑛茉ー、ずっと俯いてたら一緒に入ってる意味ないよ?」

「うん…/////」

「でも、可愛い…!」

「え?」

「そんな風に恥ずかしがっている姿!」

「そ、そう?」
ゆっくり、真絋を見上げた。

「うん、可愛い!」

「可愛い…」

「可愛いよ!
てか、瑛茉は何をしてても可愛いけどね!
なんかちっちゃくて、抱き締めたくなる!
一緒に住んで、瑛茉が家事とかやってくれるでしょ?
パタパタ動いてる姿を見るの好きなんだぁ!」


『瑛茉って、小動物みたいだよなぁ(笑)
そんなところが可愛い!』

不意に、ある人が言った言葉が頭の中に蘇った。


(なんで…彼のこと………
真奈ちゃんに会ったからかな?
…………って、真奈ちゃんは別に悪くないし…)

瑛茉は頭の中の事を払拭するため、バシャッと湯の中に潜った。

「え!!?え、瑛茉!?」

「………ぷはっ!!はぁはぁ…」

「瑛茉!どうしたの!?」


『ごめん、俺……
真奈を好きになった……!』

(嫌!!!)

『━━━━だから……
別れよう………!
ごめんな…』

(もう、大切な人を失いたくない…………!)


「━━━━━瑛茉!!!」

「……っあ!?ま、真絋…」

「どうしたの?
ん?
泣かないで?」
瑛茉の目元を拭う。

「嫌なこと、思い出して…」

「嫌なこと?」

「う、うん…」

「…………
とりあえず、上がろ?
で、早く寝よ?」

風呂を出て、寝室に向かった。


「はい、瑛茉!
ギュッてするから、おいで?」
ベッドに横になった真絋が、瑛茉に向かって両手を広げてくる。

「うん」
瑛茉は腕の中に収まった。
ゆっくり真絋の手が、瑛茉の背中を上下に動く。

「もう、寝な?」
「うん…
…………でも真絋、聞かないの?」

「んー、嫌なことなんでしょ?
だから、瑛茉が話してくれるまで聞かない」

「……………
ありがとう……」

「ほら、大丈夫だから。
寝よう?」
「うん…おやすみなさい……!」

「ん、おやすみ!」
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