黒木くんが溺愛ヴァンパイアに覚醒してしまったのは、私の告白が原因だったようです。
胡春に告白されたので、ヴァンパイアに覚醒しました。 (黒木蒼夜SIDE)

 ヴァンパイアである俺の父と母は、気持ち悪いぐらいにラブラブである。
 大の大人が人目をはばからずに路上で接吻とか、恥ずかしい。
 俺は、ずっとなぜここまで人を愛せるのか、理解に苦しんでいた。

 彼女と出会うまでは。

 初めて胡春と話した時、俺は衝撃を受けた。
 彼女の浮かべた天使のような微笑み。
 黒曜石のうるんとしたつぶらな瞳。
 俺なんかに感謝するために出された甘い甘い声色。

 この地球上にこれほどまでに愛おしい存在が存在していたのか!
 それほどまでに彼女は、可愛い。可愛い。可愛かった。
 俺は長年、胡春に片想いしていたのだ。

 そんな胡春に告白され、ヴァンパイアとしての本能に目覚めた俺。
 あの夜、俺が舞い上がって小躍りしたことを、彼女は知らない。
 そして図書室での吸血行為には、実は夢の放課後デート要素が含まれていたことさえ、彼女は知らないのだ。

 俺が胡春の唇を啄めば、彼女の顔にはぼっと再び火がついている。

(ほんっと困るな、この愛らしさは罪だろ……。)

と感嘆のため息をはあっと漏らし、悪い男に捕まった彼女のこれからを案じた。

 《END》
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