聖女さまがいっぱい!(聖女ショートショート集)
 聖女が体調を崩したという知らせは王宮にまで届き、王族の代表で王子が見舞いに来ることとなった。

 ああ、やっとお会いできるのですね。

 聖女は心をときめかせ、その日を待ちわびた。

 とうとうその日が来て、聖女は久し振りに寝台を降りて正装をした。

 髪はキレイかしら、お化粧は濃くないかしら、聖女のドレスは私を美しく見せてくれるかしら。

 ドキドキしながら神殿の応接室で王子を出迎える。

「起きていて大丈夫なのか」

 王子に声をかけられ、聖女は一段と鼓動が大きくなるのを感じた。

「おきづかいありがとうございます。殿下の御威光のおかげか、今日は体調もよく……」

 返事の途中で、王子が大股で近づいてきたかと思うと、ぎゅっと彼女を抱きしめた。

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