BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

はぁっ……。

これで本当に助かったんだと、大きく息を吐くと。


「北校舎はこっちだ」


私の目の前に伸ばされた手。


「え」


涙目で見上げると、嵐が私に向かって手を伸ばしていて。


これは、つかまれってこと……?


「ん」


どうしていいからわからず躊躇してると、再度振り下ろされる手。


恐る恐る手を伸ばすと、嵐の方から私の手をつかんで引っ張りあげた。

そのまま無言で私の手を引きながら向かったのは、私が進んでいた方向と逆。

< 109 / 134 >

この作品をシェア

pagetop