BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー
「あわわ、妃翠ちゃんどうかした?」
「な、なんでもないよ」
はいっ、とペンケースを拾って手渡してくれる麻美に、まさか知られるわけにはいかない。
動く彫刻──嵐に、興味があるだなんて。
「そろそろ来るかなぁ」
「楽しみ~~」
女の子たちは身を乗り出すようにして、今か今かと待っていた。
普段は煙たい情報科でも、嵐への扱いは例外らしい。
まるで神々しい存在で待つかのように、女子たちの目はキラキラしている。
……特進科の生徒にまで人気があるだなんて知らなかった。
「それにね、動く彫刻くん、BLUE ROSEの総長らしいの」
「ぶ、ブルー、なに……?」
いきなり初耳の横文字を並べられても聞き取れない。
しかも、総長ってなに。