やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 祖父なら潰すのは簡単だろうと思う。
 モニカは前伯爵の娘だったというだけで、何の後ろ楯もなく。
 シドニーのエドワード侯爵家は張りぼてだ。
 3年後の祖父はそれが分かっていたけれど、どちらも潰さなかった。


「私が潰したいのはモニカの存在じゃありません。
 そんなことになれば、領内でますます彼女は神格化されてしまいます。
 私は彼女本人や周りが抱いている幻想……
 自分は悲劇のヒロインだと思い込んでいる幻想を潰して、現実を突き付けてやりたい。
 それに加担した父や母も私も無罪ではないですから……
 シドニー・ハイパーでしたら、もう会いましたし、これからは会いません」

「……いいだろう。
 これから毎月帰る予定と言うなら、交通費は自分で稼ぎなさい。
 2度目なんだから、学業に遅れを取ることはないな?
 学院には私から家業を勉強するためだと届けるから、週末土曜だけでいいから、シーズンズで働きなさい。
 毎月帰省となるとペイジがうるさいから、これも私から今夜ジョージに電話を入れる。
 お前が帰ってくることはジョージは大歓迎だし、アレが喜ぶならペイジは黙る」

「わかりました。
 では、来週からよろしくお願いいたします」
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