やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 本当に笑える。
 何も教えてくれなかったふたり。
 何も知らなかった私。

 ずっと秘密にされて除け者にされていた自分が惨めで可笑しくて、私は笑った。
 その笑顔を皆は祝福の微笑みだと受け取ってくれる。

 適当に相手に合わせながら、ただ笑っているだけの私に近付いてくる男性がいる。
 今日の主役のシドニーだ。


「ちょっと、話出来るかな?」


 婚約者が同居する従妹であり、学院の後輩でもあり、キューピッドになった(と思われている)私を、シドニーがキッチンへと誘う。
 そこは皆が集うリビングの直ぐ隣で、足りなくなったお酒やジュースを取りに、誰もが頻繁に出入りする場所だ。

 彼がそこへ婚約者じゃない女性を誘ってふたりだけで会話をしていても、怪しまれたりしない場所。
 そこをシドニーは選んだ。


「今夜モニカは帰さないから、悪いけど。
 キャンベルはひとりで帰ってくれるかな?」

「婚約したから、早速モニカを泊めるのね?」
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