やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 家令のクリフォードも、メイド長のカルディナも、給仕をしないのでダイニングルームには居ない。
 モニカは幼い頃からこの家に居るふたりを呼びつけた。

 給仕をしていたアダムとカレンが、母が許可したので、それぞれ呼びに走った。
 普段は邸内を走ったりしないふたりだが、非常事態だと感じたようだ。


 ふたりが来るのを待つ間、モニカの視線を感じながら、私はアイスクリームをゆっくり味わった。
 母とリアンのアイスは溶けている。
 勿体ない。


「何なのよ、そんなに高等学院へ入学したら偉くなるの?
 ちょっと帰ってきては、めちゃくちゃにして帰って!
 いい気になって、調子に乗るんじゃないわよ!」


「外に出たら、分かることが増えた、と言うか。
 おかしなことは、正さないと、ねえ?」

「何が、ねえ?ふざけんな!
 あんたなんか、あっちでも友達なんか居ないから、毎月こっちへ帰ってきては偉そうにしてるんでしょ!
 可哀想にね!
 勉強しか取り柄がない、可愛くないあんたには誰も寄ってこないわよ!」

「嘘をついて、周りから同情されたい訳じゃないのよね、私は。
 本当の私を知ってるひとだけで、いいの。
 苛められている自分と私、どっちが可哀想だと思ってる?」
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