やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ……スピネルは尖った角を持つ8面体の結晶だ。
 学院生の頃から彼は、その性格からあちこちでぶつかって、鋭いトゲで相手を傷付けてきたのだろう。
 瞳の色からだけじゃない、スピネルと呼ばれたのは。
 そんな人間を王族が専属にするわけがない。



「それで主にアレの指導を任されていたんですが。
 天才と呼ばれた私が14でマスターした術を11のアレがモノにしていく、それを間近で見る、って結構きつかったですねぇ」


「アレは難しい性格なのかと思っていたら、案外良くしゃべるヤツで。
 君の話は同じことを何度も聞かされましたよ。
 だってほんの何時間かしか、会ってないんでしょう?
 そんな少ししか会ってない女の話を、繰り返しするわけですよ。
 馬鹿か、と思いましたね。
 これからいくらだって、あっちから群がってくる良い女達を抱けるぞ、と教えても。
 一生ひとりだけと決めているから、ってぬけぬけとほざくんです。
 君、10歳のガキ相手に何をやったんです?
 忘れられないような、よほどいいことしてやったのかな?
 どんなテクニックを使ったのか、私にも教えてくださいよ?」


 冗談にもならない酷い言い草に、ヨエルを睨み付けた。
 返事をするのも穢らわしい。


 そんな反応を見て、ますます楽しそうなヨエルは私の顎を掴んだ。

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