やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「あの、戻る前にハグだけしても?
 ディナには、16の君に会ったら、キスは絶対に許さないけれど、ハグをしてあげて、って言われてて」

「彼女公認の浮気相手みたいで、やりづらいね」


 29歳になっても、私は自分以外の私に嫉妬するのか……
 憎まれ口をきいてしまったけれど、29歳の私からのプレゼントの様で本当は嬉しかったから、素直に抱きしめて貰った。

 やはりオルの腕の中は居心地が良かった。


「あのガキがさ、大人になるのを待っててやって。
 いつか君に会いに行こうと、それだけでがんばってるから」

「今度も次にいつ会えるか教えてくれないんでしょ?
 毎日どきどきさせようとしてるから」

「その通りです。
 ところで、今日が何の日かわかる?」


 もちろん、今日が11月20日なら、何の日か分かってる。
 サイモンの誕生日で、フィリップスさんに初めて会ったのが3年後の今日で。

 そして。


「私がパピーとぶつかって、たった3日間の貴方との同棲が始まった日が11月20日だもの」


 パピーとシアとオルと私の、週末3日間の始まりの日。


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