やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 お相手はヴァイオレット・ハント嬢。
 色々と考えて、自分はハント嬢には釣り合わないと、悩んでいたサイモンの後押しをしてくださったのが、サーラさんだった。



 もちろん、今夜のパーティーにはモニカも出席する。
 彼女は来月成人になり、正式にクレイトン伯爵位を継ぐことになった。 


 前回、モニカ達が前伯爵の遺言書だと言い張ったそれは、伯母のチェストの引き出しに少女向けの恋愛小説と共に包装されて入っていた。

 その引き出しには伯母の新しい絹の下着やストッキングが入っていて、娘のモニカには気付かれないように、と奥に隠されていた。
 可愛いリボンが掛けられていた、と聞いてモニカへの贈り物だと分かる。


 見つけて読み終えたモニカから電話を貰って。
『ジェリーも読む?』と聞かれたので、断った。
 何故ならそれは、遺言書などではなく、愛娘に宛てた両親からの手紙だった、と聞いたからだ。
 その内容をかいつまんで、モニカは教えてくれた。


 伯父からは、近い将来、女王陛下が進めている女子継承案が施行されて、負債だらけの伯爵家を病弱なモニカに継がせるのが心配だ。
 家のために愛のない結婚をするくらいなら、叔父に譲るのもいい、と書かれていたらしい。
< 418 / 444 >

この作品をシェア

pagetop