やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

「なる程、モニカにとっては私の家族は泥棒で。
 自分は権利を奪われ虐げられたお姫様?
 爵位と屋敷を乗っ取った叔父家族に、毎日使用人のようにこき使われている、と聞かされた?」


 そんな筋書きの物語は、昔から廃れることなく存在する。
 両親が亡くなってしまったせいで、乗り込んできた親戚から虐げられる正当な後継者。 


 確かにウチの家族がモニカの住む伯爵邸に引っ越したけれど、それは爵位を継いだのだから仕方ない。
 ウチから連れて行った使用人達も、元から居た伯爵家の使用人達もうまく折り合いを付けて協力して、皆で傷付いた『モニカお嬢様』を、見守っていた。

 
 気持ちよく風が通る邸内で一番いい部屋にずっと住んでいたモニカ。
 私より新しく作るドレスの枚数が多かったモニカ。

 避暑で2週間もウチに泊まっていたくせに、シドニーにはそれが見えていなかったの?
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