やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 無意識に両手を合わせて、握りしめていた。


「……子供が出来にくい可能性を医師から告げられたディナは結婚しない、と決めて。
 恋人からのプロポーズも断り続けていたの」


 ……教えて、と言ったのは自分だったのに。
 その時の自分がどんなに辛かったか、分かりすぎて。
 結婚していない理由は、これだったのね。


「子供が居なくてもいい、結婚して、とディナの恋人はずっと言い続けていたんだけれど。
 貴女は彼の才能は受け継がれるべきものだと言い張るし、彼も貴女が諦められないし。
 しつこい彼にとうとうディナが折れて、ふたりは結婚していないけれど、それでも愛し合って一緒に居たの」

「シア、昨夜の事故を回避したのなら、10年後の私はどうなっているの?
 彼からのプロポーズを受けるわね?」
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