やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 人は本当に驚いた時、声も出ず、動くことも出来ないんだ。

 灯りを点けない夕刻の部屋の中は、ほの暗いのに。
 彼のその姿は何故かはっきりと見える。

 彼以外の全てがぼやけた世界の中で。
 彼だけが鮮やかに見える魔法を、瞬間に掛けられてしまったのかもしれない。


 私はカウチの上で固まっていたのに、元パピーの元魔女は、軽い足取りで私の前まで来て、膝を付いて。
 少し屈んで、目線を合わせてきた。
 そして、手を伸ばして……



 金色に輝く瞳の。
 それだけはパピーとシアと同じ。


 何も言えなかった。
 近付いてくる顔を真正面から見た。
 その金色の瞳を見て、魅了の魔法にかけられて、操られてもいい、と思わせる程の魔物のような美しさ。
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