私の全てを盗んで、愛して
頭がすこし冷えたことで、私はすぐさま戦略を練った。
(ヴァンパイアは運命の人を探してるって言ってたから、、私が運命の人じゃないって言えばいいんじゃないか?よし、これでいこう!)
「あの!残念ながら私は貴方の運命の人じゃないの。だから、帰って欲しいんだけど」
ーそれは無理ー
「残念ながら」
「君は俺がずっと、探し続けてやっと見つけた運命の人ですから」
鼻でふっと笑いながら言った。
本当に訳が分からない。
「は?意味がわからないんだけど。じゃあ逆に私が運命の人って証拠はなんなの?」
そういうと快く答え出した。
「君、生まれつきどこかに薔薇のようなアザを持ってませんか?」
あ、ある。確かに私は生まれつき薔薇の形に似たアザがお腹にある。
「で、でもアザがあるからって運命だとは限らないでしょ!?」
「ですが、運命とは人の意思じゃどうにもならないことを言うでしょう?なので誰が何と言おうが私と貴方は運命で繋がっているのです」
妙に説得力があって少し腹が立つ。
「だから」
急な声にびくっとした。
すると顔をのぞき込まれて、私はびっくりして閉じた目を開けた。
美しく引き込まれるような青の目が、お面に包み込まれていた。
見とれていると耳元で彼が囁いた。
「お前はだまって俺に愛されてろ」