LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「私の名前の藍は、アクアマリンの和名の藍玉からとったんです。3月に生まれたから」
「ああ、誕生石ね」
「小学生の頃、仲良くなった友達がいたんですけど、急に引っ越すことになって。直前まで本人も知らなくて、私は当日に知らされたんです」
どうしてこんなことを話すのだろう。こんな思い出話、店長には関係ないのに。
そう思っても、いったん口にだしたら止まらなくなっていた。
「その男の子とは公園で知り合ったんです。その子が宝石の図鑑みたいなのを見ていて、私はその表紙をみてすごく興味をもって、何見てるの、って話しかけたんです」
「うん、それで?」
「すごくきれいな石がたくさん載ってました。宝石だけじゃなくて、確か鉱物も載っていました。もうかなり記憶も曖昧なんですけど、とにかくきれいだった記憶があります」
「宝石と鉱物の図鑑だね」
「その男の子が見せてくれた図鑑のおかげですっかり宝石が大好きになって、当時はジュエリーデザイナーになるんだ、なんて言ってました」
「へえ」
意外そうでもなく、瑶煌があいづちをうつ。
「ちょうど校区の端と端に住んでたから、その子は学校が違ってて、名前しか知らなくて。ずっと名字で呼んでたから、もう名字しか覚えてないんですけど、お別れの日にその子がアクアマリンをくれたんです」
「そうなんだ」
「もちろん子供ですから、ちゃんとしたものじゃなくて、たぶん、パワーストーンのお店とかに売ってそうな、子供でも買える程度のものです。不透明なものです。それでもすごくうれしくて」
愛おしい思い出が蘇り、藍は目を細めた。
「ああ、誕生石ね」
「小学生の頃、仲良くなった友達がいたんですけど、急に引っ越すことになって。直前まで本人も知らなくて、私は当日に知らされたんです」
どうしてこんなことを話すのだろう。こんな思い出話、店長には関係ないのに。
そう思っても、いったん口にだしたら止まらなくなっていた。
「その男の子とは公園で知り合ったんです。その子が宝石の図鑑みたいなのを見ていて、私はその表紙をみてすごく興味をもって、何見てるの、って話しかけたんです」
「うん、それで?」
「すごくきれいな石がたくさん載ってました。宝石だけじゃなくて、確か鉱物も載っていました。もうかなり記憶も曖昧なんですけど、とにかくきれいだった記憶があります」
「宝石と鉱物の図鑑だね」
「その男の子が見せてくれた図鑑のおかげですっかり宝石が大好きになって、当時はジュエリーデザイナーになるんだ、なんて言ってました」
「へえ」
意外そうでもなく、瑶煌があいづちをうつ。
「ちょうど校区の端と端に住んでたから、その子は学校が違ってて、名前しか知らなくて。ずっと名字で呼んでたから、もう名字しか覚えてないんですけど、お別れの日にその子がアクアマリンをくれたんです」
「そうなんだ」
「もちろん子供ですから、ちゃんとしたものじゃなくて、たぶん、パワーストーンのお店とかに売ってそうな、子供でも買える程度のものです。不透明なものです。それでもすごくうれしくて」
愛おしい思い出が蘇り、藍は目を細めた。