LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

32 コンセプト

 月曜日。

 藍は、期待と不安が入り混じった、なんとも言えない心持で出勤した。

 空には雲が多く、空はどんよりとしている。ときおり隙間から青空が顔を覗かせるが、すぐにまた雲に隠れてしまう。

 少し早めに行くと、瑶煌はすでに出勤していた。

 瑠璃がいないのを確かめてから、藍は事務所にいた瑶煌にアクアマリンを見せに行く。

「ああ、これ……」

 アクアマリンを受け取って、瑶煌は黙り込んだ。感慨深げに、手の中で転がしてみたり、つまんで掲げてみたり、しげしげと見つめている。

「これ、ずっと持ってたんだ?」

「はい。毎日持ち歩いてます」

「へえ」

 瑶煌が驚いたように言う。なんだか恥ずかしくなってきた。

「あの、これ、直りませんか?」

 藍が言うと、瑶煌は眉を寄せた。

「うちの店のコンセプトには合わないかな」

 コンセプトが合わないと直してもらえないのだろうか。確かに宝石ではないのだが……。

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