LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

33 パワーストーンショップ

 仕事帰りに藍は駅ビルのパワーストーンショップに寄った。

 少しワクワクしていた。

 店頭には色とりどりの石が置かれている。色ごとにわけられ、名前と値札がつけられ、パワーストーンとしての効能も添書きされている。ブレスレットやペンダント、指輪など、さまざまなアクセサリーもたくさん並べられていた。

 金具を買いに来たのに、気が付けば店内を見てまわっていた。

 ローズクォーツにアメジスト、トルコ石、オニキス、サンストーン、などなど。

 宝石店にない石が多いので、わくわくした。

 ほとんどは半貴石と言われるものだ。半貴石とは流通量が多くて希少価値が低いものをさしていう。貴石と呼ばれる宝石と違って鑑定書もいらない。ジュエリーよりカジュアルで身近な石たち。

 ふと、水色の石に目が留まる。

 藍が持っているのと同じ、白みがかったアクアマリンに、ミルキーアクアマリンという名前がついていた。

 綺麗なネーミング、と藍は少しうれしくなる。

 だけど、ブルースカイストーンだって、きっと負けてない。

 ブルーが最初につくのはかっこいいらしいから。

 思い出の中の少年はきっと、「ブルースカイストーンのほうがかっこいい!」と主張するに違いない。

 白っぽいアクアマリンがミルキーアクアマリンなら、ミルキーブルースカイストーンかな。と思って笑いそうになる。子供が考えた必殺技みたい。

 ミルキーアクアマリンには「仲間」という石言葉が添えられていた。

 色が少し違うだけで言葉も変わるんだ、と藍は妙な感心をしてしまった。

「仲間」なら、あのとき彼がくれたことに、なおさら意味があるように感じてしまう。

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