LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

34 ときめき

 買っちゃった!

 家についた藍は、パワーストーンショップの袋を両手で掲げる。思いがけずたくさん買ってしまった。ついでに100均で道具も買った。

 あのあと、店員のマスクストラップが素敵だから自分も作りたいというと、店員は材料を見繕(みつくろ)って作り方も教えてくれた。

 わくわくがおさえきれなくて、まずはピアスを作ってみる。

 作り方の紙を見ながら、なんとか四苦八苦して作り上げることができた。

「すごい、自分でもできた!」

 興奮して、さっそく付けて鏡で見てみる。

「うん、いい!」

 ところどころ金具がぶかっこうに曲がっているが、ぱっと見ではまったくわからない。

 そういえば、と藍は思いだす。

 小学生のころにも挑戦してみたことがあった。母親と一緒にやってみたものの、藍には金具を曲げるのも一苦労で途中で嫌になってやめてしまい、母親が完成させくれた。

 だからジュエリーデザイナーになるのもあきらめたんだった。

 すっかり忘れていた。

 翌日はマスクストラップも完成させた。

 ジュエリーではないけれど、アクセサリーを作ることはできた。

 少しは瑶煌に近づけただろうか。

 そんな期待をしている自分に気が付いて、藍は恥ずかしくなった。




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