LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

35 回想

 * * *

 公園で少年と知り合ってしばらくしたある日のことだ。

「おれ、ジュエリーデザイナーになる」

 いつものように一緒に公園で遊んでいたとき、彼は言った。

「えっ。そんな職業があるの?」

「あるんだよ。そのためにお金もためてるんだ。ジュエリーデザイナーになるんだったら宝石を買うお金もひつようだろ。こうせきひょうほんもほしいな」

 得気に言いながら、持ってきた図鑑を広げる。ページの下の方に、ジュエリーデザイナーとは? というコーナーがあった。

 何度も一緒に見た図鑑なのに、藍はまったく気が付いていなかった。

 ジュエリーデザイナー、という言葉ははすごく魅力的に藍の心に響いた。

「いいなあ」

 きっとキラキラする宝石に囲まれて、毎日が楽しいに違いない。

「藍も一緒にやろうよ。――うん、そうだ。それがいい!」

 すごくいいアイディアのように彼は言った。

「でも、難しいんじゃない? 私、図工のせいせきわるいもん」

「そんなのかんけいないよ! やりたかったらやればいいんだ」

「そうかな」

「そうだよ」

「そっか。私もジュエリーデザイナーになる!」

 藍が言うと、彼はにこっと笑った。



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