LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

37 別れ

 翌日、藍はまた公園へ行った。半ば走るようにして向かう。

 冬は暮れるのが早い。

 すでに日が傾きつつある。

 早く行かないと遊ぶ時間が少なくなってしまう。彼との時間が減ってしまう。

 到着すると、彼は滑り台の支柱にもたれ、ポケットに手を入れてうつむいて立っている。斜めになった太陽を背にしているためか顔に陰ができて、とても暗い表情に見えた。足元の影は陰鬱(いんうつ)に長く伸びている。滑り台の影は彼を飲み込もうとしているかのように見えた。

「どうしたの?」

 胸騒ぎがして、どきどきしながら藍は聞いた。

「友達とは仲直りできた?」

 笑顔で彼はきいてきた。どこか悲しげで、痛々しかった。

「……まだ」

「そっか」

 それきり、黙る。

 藍もなんとなく黙ってしまった。

 どうしてしまったんだろう。

 いつも持ってきている図鑑も持ってきていない。

 風が吹き、藍は体を震わせた。

 遊んでいるときはいつも寒さなど気にならなかった。

 寒いね、と会話はするが、彼といると自然と心が暖かくなって、楽しく時間を過ごせたのだ。

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