LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 ガチャ、と扉が開く音がした。

「あっ」

 瑠璃の動きが急に止まる。

 藍はようやくペンダントの鎖を掴むことができた。が、勢い余って前に倒れこむ。

 藍はとっさに瑠璃の手を離す。共倒れを避けるために。

「危ない!」

 瑶煌の叫ぶ声が聞こえた。

 そのときにはもう倒れ、同時にカツン、と乾いた音が響いた。

「大丈夫か!?」

 瑶煌が駆け寄り、藍を助け起こす。藍は座り込むように上半身を起こした。

「だいじょう……」

 言いかけて、止まる。その目に映ったアクアマリン。その残骸。

 割れていた。せっかく直ったペンダントが、初恋の思い出のペンダントが。

「あ……」

 おそるおそる手を伸ばす。水色の石は、大小3つほどのかけらになっていた。

 頭の中に映像が駆け巡る。図鑑、少年、夕日、滑り台。少年の笑顔。ケンカしたときの顔。照れくさそうに笑った顔。別れを告げたときの悲しそうな顔。

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