LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「終わりました」

 給湯室にいた瑠璃に報告すると、彼女は水を入れたコップにバラを入れ、藍に渡した。シンプルなコップに一輪の白いバラが映える。

「これ、ケースの中にいれて」

「はい」

 渡されるとき、指先まで美しい、と思った。細く長い指、控えめでシンプルなネイル。

 彼女が差し出すジュエリーはそれだけで価値が高く見えそうだ。

 比べて自分の指と来たら。

 いや、今は考えちゃだめだ!

 ネガティブさを無理やりに思考から締め出す。

 手前の店員が常駐するショーケース以外は鍵が掛かっている。藍は鍵のかかっていないショーケースの中に入れた。そして、あれ? と思う。



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