LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

2 コップ

 朝礼が終わると直哉はすぐに出て行った。

 店長は奥の工房へ引っ込む。

 それを見届けたかのように、瑠璃は言った。

「ださいスーツね」

 藍はびっくりして返事ができなかった。初対面で言うことか。普通、そう思っても言えない。それとも、そんなにひどいのだろうか。

「何年前のスーツ着てるのよ。髪型もダサい。そんな店員が売ってるジュエリーなんて買いたいと思う? 気を付けて」

「は、はい!」

 スーツなんてどれも同じだと思っていた藍には衝撃的だった。と同時に、確かに自分が客なら、瑠璃から買いたいと思ってしまう。

「まあいいわ。掃除して」

 藍は瑠璃の指示で掃除をしたりショーケースを拭いたりした。

 初めての勤務、初めての場所。

 何をするにもドキドキしていた。



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