LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「やめろ!」

 瑶煌が犯人にとびかかる。

 犯人ともども、瑶煌はショーケースにぶつかる。

 突如、店内に警報が響き渡った。瑠璃が警報ボタンを押したに違いない。警備会社への通報も同時に行われる警備システムだ。

「もういい、行くぞ!」

 犯人の一人が言い、出口に向かって犯人たちが走り出す。瑶煌ともみあう男も、瑶煌を突き飛ばして続いた。

 荒い息をする三人に、けたたましい警報の音が降り注ぐ。

「藍、大丈夫か」

 しゃがみこむ藍に、瑶煌が確認する。

「無事です」

 と、デザイン画とダイヤが入っているだろうケースを瑶煌に示す。

「そうじゃなくて、君が!」

「良かった、とられなくて」

 藍はにっこりと笑った、つもりだった。最後に役に立てただろうか。

 視界がぐにゃりと曲がった。

「藍!」

 慌てて瑶煌が支える。

「なんでこんなことに」

 直哉が呟いたときにはもう、藍は意識を手放していた。



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