LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「藍!」

「藍ちゃん!」

 二人が叫ぶ。

 藍は刃をつかんでしまっていた。

 血が、つうっと手から流れる。

「藍ちゃん……」

 呆然としたように、直哉は座り込む。

 藍もその近くに座り込んだ。包丁は床に落ち、カラン、と音を立てた。

「藍!」

「大丈夫です」

「傷を見せて」

 言われて、手を見せる。

 右手の親指と人差し指の間を切って、血があふれていた。

 瑶煌はハンカチを取り出して藍の傷口を縛った。ハンカチに赤い染みが広がる。

 藍はハンカチを見て驚いた。

 この色()せた花柄のハンカチは。

 やはり瑶煌は、あのときの。

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