LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

66 流れる血が証明したもの

 * * *

 瑶煌が包丁をとりあげ、藍はやっとホッとできた。

 だが、その後も緊張したやりとりが続く。

 藍は黙って聞いていた。

 二人の気持ちに藍が入ることなどできない。

 黙って二人を見ていた。

 だから、瑶煌より先に気づいた。

 直哉の目が、投げられた先の包丁を見ていることに。

 だから、直哉が動いたとき、瑶煌より先に動けた。

 直哉が一足先に包丁を手にする。(ひざまず)くような姿勢で、そのまま、首を刺そうとする。

「ダメ!」

 藍は包丁めがけて跳びかかった。

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