LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 そこにはシンプルなピアスと指輪があった。台座は銀色だ。

「これは……」

「あのとき割れたブルースカイストーンだよ。加工したんだ。久し振りに原石の研磨からやったよ」

 瑶煌はケースから指輪を手に取り、ケースを下に置いた。

 そして、その場に(ひざまず)いた。姫にかしづく騎士のように。

 周りの人が何事かと二人に注目し始める。

「月石くん!?」

 驚く藍の左手を取り、その薬指に指輪をはめる。

「俺と結婚してください」

 藍は言葉をなくした。

 瑶煌の顔をみつめる。

 相変わらずの優しい微笑がそこにあった。その瞳に映るのは、藍の姿だけ。

「よろしくおねがいします」

 答えると、瑶煌は破顔した。

 立ち上がって藍を抱きしめる。

 藍もその背に手を回す。

 絶対に離さない、と心に誓って。

 周囲からは拍手が湧き起こった。

 駅に、電車が入ってきた音がした。

 ごおお、と轟音が降り注ぐ。

 それはまるで祝砲のように二人を包んだ。




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