LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 おろおろと周りを見回す。ソファの近くにあるテーブルに紙が何枚も散乱していた。近くには色鉛筆が置かれている。

 そっと手に取って見てみる。

 デザイン画だった。

 ラピスラズリを使ったピアスのようだ。

 綺麗だ、と思った。

 波のようにうねりながら伸びあがるゴールドの土台に、小さな宇宙のようなラピスラズリの丸玉がある。ここは平たく、ここは丸みを帯びて、という土台部分への書き込みもある。

 その紙の下にあるデザイン画もラピスラズリ。直線的なシルバーの土台に、やはりこれも丸玉がついている。

 何枚かあるすべてがラピスラズリのピアスのものだった。

 ふと、一枚だけテーブルの下に落ちているのを見つけた。

 それは水色の石を使った指輪のデザインだった。
 花をかたどったような銀色の土台の真ん中にきらめく水色の石が配置されている。土台はプラチナで、と但し書きがあった。

 石の横に「ブルースカイストーン」と書いてある。

 え、なぜこれを。

 思わず瑶煌を見る。彼は眠っている。

 まさか彼が?

 小さいころに友達になり、急に引っ越して言った大事な友達。

 だけど、とすぐに気が付く。瑶煌と彼は苗字が違う。いつも苗字で呼んでいたので、下の名前は憶えていない。

 そういえば、ショーケースを見ていたときにトパーズの名前で似たようなものがあったな。

「なんだ、ブルートパーズのことか」

 ふと呟いたときだった。

 ソファに寝ていた瑶煌がみじろぎし、そのまぶたがゆっくり開いた。藍と目があう。

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