LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
 彼はパソコンに向かって作業をしていたところだった。

「ありがとうございました」

 と返すと、瑶煌は机の本立てにあった本を一冊とりだして藍に渡す。

「これも仕事中に読んでもいいから」

 受け取った本を見て驚いた。角が擦り切れた、A4ほどの大きさの本。

『宝石と鉱石のいろいろ図鑑』

 今度は子供向け? と思うと同時に、見たことがある気がする、と藍は思った。

 子供のころに、藍が友達と見ていた図鑑と同じもののような……。

「私はMEILLEURS SOUVENIRS(メイユール スーベニール)にいたときは仕事の時間外で勉強していたのに」

 追いかけるようにして来た瑠璃が不満そうに言う。

「瑠璃さんはすごいと思います」

「どこから目線よ」

 瑠璃は不快そうに顔をゆがめ、

「これ、ネットサイトに入ってた注文。印刷したから一応目を通しておいて」

 瑶煌に書類を差し出す。

「ありがとう。いつも助かるよ」

 店長の微笑(ほほえ)みに笑顔を返す瑠璃。そうすると美人がより一層際立ち、輝いて見えた。

 藍との圧倒的な差を感じさせ、瑠璃は店内に戻って行った。

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