デキるイケメン 二人の求愛   失恋直後のインテリアコーディネーターが選ぶのは!?
「辞令通り出向ですよ」
「あなたはここに?」
「…もう結婚やめたから」
「突然‘妊娠したから別れろ’と女性の前に現れ、翌朝には会社で妊娠と結婚の報告をして会社を辞めたのに?」

もう話すことはないと思ったけど…結婚やめたって何があったの?と私も思う。

「失礼ですが…もしかしてその女性というのはこちらの?それなら芹那、ご迷惑を掛けたどころじゃないでしょ?彼女にはきちんと本当のことを知る権利があるわ」
「別にもうすっかり彼氏もいるみたいだからいいじゃない」
「それは別の話よ。おかしな物言いはやめなさい。ちゃんと謝罪はしたの?その物言いじゃしてないんじゃない?」
「謝罪は林からもないです。二人とも‘子どもができた’と報告しただけですから。でも反省も懺悔の念もない謝罪なんていらない。ただ事実は聞きたい。妊娠は嘘ですか?」

私もそれだけ聞きたい。嘘をついていたの?

「二人揃って謝罪なしって…常識の欠片もない二人なのね…二人で結婚しなくて良かったのかもしれないわ。失礼なことで本当に申し訳ございません。娘の妊娠は本当です。ですが…恥ずかしながら…父親が分からないという状況での妊娠でしたので結婚は無くなりました。出産後、DNA鑑定をしてその結果次第で、林さんは弁護士と相談の上、認知や養育費の話を進めて下さることになっています」
「そうですか。では失礼します」

もう話はないと、湊さんが私の手を引いて歩き始めると

「すみません、待って」

お母さんが斎藤さんの手を引っ張って私たちの前に立った。

「芹那、きちんと謝りなさい。お二人には不快な心のこもっていない謝罪だと思われることでしょうが、私は娘に今は無理やりでも頭を下げることを覚えてもらいたいんです」
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