デキるイケメン 二人の求愛   失恋直後のインテリアコーディネーターが選ぶのは!?
「芹那、人の気持ちを考えなさい。あなたが女性の立場だったらどう?生まれてきた子がそんな仕打ちにあったらどう?」
「…嫌だけど…」
「人はそれを言葉にして謝るのよ。それが出来ないうちは、あなたを家から出さない。とにかく今思う範囲の言葉でいいから謝りなさい」

お母さんの言葉からも表情からもとても気持ちが伝わってきて私が泣きそうだ。

「…神戸さん。太一くんと神戸さんが付き合っているのを知りながら太一くんと付き合ったこと、すみませんでした…ごめんなさい」

斎藤さんが首だけを折ると、隣でお母さんが腰を折る。私は掛ける言葉もないので湊さんより先に足を進める。彼はすぐにぴたりと私の隣に隙間なくつくと

「…荷物が重いな」

と私の頭に唇を触れさせて言う。

「ふふっ…私のは軽いけど」
「とんだ茶番劇に付き合わされた」
「うん、驚きのシナリオだね…玲子さんに報告案件だ」
「星本さんにもな」
「もちろん」

荷物を後ろに入れて、私を助手席に乗せた湊さんは

「気分悪くないか?」

と私を覗き込む。

「大丈夫。お母さんが気の毒だなって思ったけど…斎藤さんにはもう何も思わなかった」
「そうか…僕が慰めるという任務が却下されてしまったな」

チュッ…彼は笑いながら私の額にキスをした後、運転席へと回る。

「帰ったら、すぐにお味噌汁を作るよ。さっそくお椀を使いたいな」
「何の味噌汁?」
「どうしようかな…大根とワカメと油揚げ?かぼちゃとワカメと玉ねぎ?」
「かぼちゃで頼む」
「了解でーす」
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